けんじ編集局|編集メモ No.065 国家資格の前に「職務分析」。家事代行の技能は、どうやって決められるのか?
家事代行の国家資格について調べていると、
「いつ試験が始まるの?」
「何級になるの?」
「どんな問題が出るの?」
というところが、どうしても気になります。
でも。
その前に、ひとつ大事なことがあります。
そもそも、何を試験するの?
という問題です。
実は国が進めている国家資格化の流れを見ると、ここがかなり重要です。
政府の資料には、
「職務分析表」
という言葉が出てきます。
「職務分析」って、なんだ?
ものすごく簡単に言えば、
「その仕事って、具体的に何をする仕事なの?」
を整理することです。
家事代行といっても、実際の仕事はひとつではありません。
掃除。
洗濯。
料理。
買い物。
片付け。
整理整頓。
お客様との打ち合わせ。
要望の確認。
作業中の判断。
作業後の報告。
そして、お客様の大切な家に入る仕事だからこそ必要になる、プライバシーへの配慮や安全面への対応。
こうした仕事を細かく整理していく。
そのうえで、
「この仕事には、どんな知識が必要なのか?」
「どんな技能が必要なのか?」
「どこまでできれば、一人前と言えるのか?」
を考えていく。
それが、国家資格の試験を作るための土台になっていきます。
政府の「家事等の負担軽減」に関する資料でも、家事支援サービスの国家資格化に向けて、職務分析表・検定試験の作成、試行試験、審議会手続きを進め、2027年秋ごろの第1回試験を目指すという流れが示されています。
つまり、
いきなり「試験問題」を作っているわけではない。
ということです。
「家事が得意」と「仕事としてできる」は違う
ここが、家事代行という仕事の面白いところです。
たとえば、
「私は掃除が得意です」
という人がいたとします。
自宅の掃除なら、もちろん自分の好きなやり方でできます。
でも、お客様の家だったらどうでしょう。
お客様が大切にしているものがある。
触ってほしくない場所がある。
掃除してほしい場所と、してほしくない場所がある。
時間も決まっている。
そして、予定していなかったことが起きるかもしれない。
そのとき、
「自分だったらこうする」
ではなく、
「このお客様にとって、どうするのが適切なのか?」
を考えなければならない。
昨日の記事で紹介したベアーズの「家事代行選手権」でも、単純な家事技術だけではなく、第一印象、要望をくみ取る力、接遇、心遣い、想定外への判断力などが評価対象になっていました。
これは、まさに家事代行という仕事の「見えない技能」です。
だから「技能」を言葉にする必要がある
家事代行には、
「なんとなくできる」
ではなく、
「仕事として必要な技能」
があります。
でも、その技能は今まで、必ずしも共通の言葉で整理されてきたわけではありません。
だからこそ、
職務分析
が重要になります。
たとえば、
「お客様の要望を確認する」
という仕事があったとしても、
その中には、
・何を聞くのか
・どこまで確認するのか
・どう聞けばいいのか
・曖昧な要望をどう整理するのか
・作業中に変更があったらどうするのか
といった、さらに細かな技能が含まれているかもしれません。
こうやって仕事を分解していく。
そして、
「家事支援サービスのプロには、これだけの技能が必要です」
という形に整理していく。
その先に、ようやく「試験」があります。
国家資格は「試験問題」から始まらない
ここまでを整理すると、かなり見えてきます。
まず、
① 職務を分析する
② 必要な技能を整理する
③ その技能を評価する試験を作る
④ 試行試験を行う
⑤ 制度として正式化する
⑥ 第1回試験を実施する
という流れです。
現在の技能検定制度そのものも、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度です。現在は133職種で実施されています。
そして、既存の技能検定では、職種によって1級・2級・3級、単一等級、特級など、さまざまな仕組みがあります。
だからこそ、
「家事代行は何級になるの?」
という質問に対して、今の段階ではまだ答えが出ていません。
先に、
「家事代行の仕事には、どんな技能が必要なのか?」
を整理している途中だからです。
そして、ここがこれから面白くなる
家事代行けんじ編集部として注目したいのは、ここです。
国家資格ができる。
これはもちろん大きなニュースです。
でも、その前段階で、
「家事代行とは、どんな仕事なのか?」
を国や業界が改めて言語化することになります。
つまり、
資格を作ることそのものより、
「何をもって家事代行のプロとするのか」
という「ものさし」が作られることのほうが、長期的には大きな変化になるかもしれません。
そして、そのものさしができれば、
教育も変わります。
研修も変わります。
採用も変わります。
サービスを選ぶお客様の見方も変わるかもしれません。
政府が国家資格と並行して、2027年春を目途に講習プログラムの開発を促進するとしているのも、こうした流れの一部です。
技能を定義する。
↓
技能を教える。
↓
技能を測る。
↓
技能を証明する。
これが、少しずつ一本の線になってきています。
だから、今は「資格待ち」をしなくていい
2026年9月17日現在、家事支援サービスの国家資格について、受験資格や具体的な試験科目などはまだ確定していません。
だから、
「資格ができてから考えよう」
でもいい。
でも、わたしはもう一つの考え方もあると思っています。
資格ができる前だからこそ、仕事そのものを知っておく。
掃除の方法だけではなく、
お客様とのコミュニケーション。
現場での判断。
安全への配慮。
時間管理。
サービスとしての考え方。
そして、
「自分は何を提供できる人なのか?」
を考えておく。
資格ができたときに初めてスタートするのではなく、
その前から、自分自身の技能を育てておく。
これは、決して資格対策という意味ではありません。
むしろ、
「家事代行という仕事を知る」
ということです。
そして、9月20日。
いよいよ、あと3日。
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ここは、毎回きちんとお伝えします。
おりとなおこの家事代行養成塾は、資格取得を目指す講座ではありません。資格を発行する講座でもありません。
国家資格の公式対策講座でもありません。
これから家事代行という仕事を始めたい人。
家事代行について知りたい人。
実際の仕事を始める前に、知識や考え方を整理しておきたい人。
そんな人のための講座です。
国家資格ができるのは、まだ少し先。
でも、
「家事代行という仕事を知る」
のは、今日からでもできます。
国家資格ができる前の今だからこそ、
「私は家事代行で、何を提供できるんだろう?」
そんなことを考えてみるのも、面白いかもしれません。
家事代行けんじ編集部では、これからも
職務分析 → 技能 → 教育 → 試験 → 資格
という流れを追いかけていきます。
「資格ができた」というニュースだけではなく、
「資格ができるまでに、何が決まっていったのか」
まで記録していきます。
それが、けんじ編集局の仕事です。
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