野球応援を見に行った話
娘の高校の野球応援を見に行ってきた。
娘はブラスバンド部なので、野球というよりも演奏を見たくて球場に足を運んだ。娘達の演奏も応援ももちろん素晴らしく、相手高校の演奏応援も素晴らしかった。
そして肝心の試合といえば、こちらもとても良い試合で、野球には全く興味のない私でもかなり楽しく観戦することができた。いつの間にか会場一体となり、大声で応援して手拍子をするのがとても楽しかった。目の前に広がる、若い優秀な選手たちが切磋琢磨し、お互いのチームを応援するような青い光景は高校野球ならではなのか、応援に駆けつける大人が多いのに納得した。
私も高校でブラスバンド部に所属していたため、野球応援は経験がある。当時、2回戦で応援は終わっていたし、野球のルールも全くわからなかったから、その経験がどんなに尊いものなのかもわからなかった。ただ、外でラッパを吹いているだけで、応援というには程遠いような気持ちでいた。特に後悔はないけども、もったいなかったのかもしれない。
娘は高校2年生。昨年の野球応援は仕事が重なり一度も行くことができなかった。ものすごい猛暑の中、熱中症で倒れる部員もいたり、私も娘も野球に興味がないというのも相まって、娘の体が心配で、早く終わってほしいと願ってさえいた。
今回応援を見に行った日は、午前は猛暑だったものの昼前に雨が降り、気温は急降下。試合中は理想的な曇り空で、風が吹くともはや肌寒いくらいだった。毎回こういう気候ならいいのに。
試合は娘の高校がリードし、後半さらに追加点を取って盛り上がっていた。7回か8回の裏、相手高校の攻撃中に3塁からホームに走る選手が転倒し、担架で運ばれていった。選手は痛くてのたうち回り、他の選手達が駆けつけ、担架を持った大人が駆けつけ、救急車が来た。担架で運ばれていく選手には球場から拍手がおくられていた。
選手は遠くてよく見えなかったが、多分泣いていた。負けそうな試合の最後に大怪我をする自分、相手チームの応援の音量、今日まで努力してきたことなど、きっと色んな感情が彼の中には渦巻いていたと思う。
私はその光景を見ていて胸が張り裂けそうだった。誰も怪我しないでほしい。みんな今日まで努力してきたのがわかる試合だったから尚更、見ていて辛かった。スポーツには怪我がつきものとはいえ。
あの選手が自分の息子だったら、私はきっと応援席から飛び降りて、泣きながら叫んでそばに駆け寄ったと思う。子供が怪我をしたり病気になったりするのは何よりも辛い。きっとあの子の親も試合を見に来ていたはず。その人も泣いたかなぁ。
部活でがんばってみたけど挫折したり、うまくいかなかったりすることで得るものはとても大きいだろうし、それは今後ずっと糧になるのは間違いない。しかしいつの間にか当事者ではなく完全に親の立場で物事を見ている。まだ17歳くらいの子供たち。たくさん良いことがあるといいなぁ。あの子の怪我も早く治るといいな。